変形労働時間制のもとで残業代が支払われる時間は?


 1か月又は1年単位の変形労働時間制のもとで法外時間外労働となるのは次のとおりです。

 

(1)1日の所定労働時間が8時間を超える日において1日の労働時間が所定労働時間を超えた時間

(2)1日の所定労働時間が8時間以下の日において1日の労働時間が8時間を超えた時間

(3)1週の所定労働時間が40時間を超える週において上記(1)(2)を除く週労働時間が週所定労働時間を超えた時間

(4)1週の所定労働時間が40時間以下の週において上記(1)(2)を除く週労働時間が40時間を超えた時間

(5)変形期間における上記(1)~(4)を除く総労働時間が変形期間における法定労働時間(40時間×歴日数/7日)を超えた時間

 

これに対し、

(6)1日の所定労働時間が8時間以下の日において所定労働時間を超えて8時間まで働いた時間

(7)1週の所定労働時間が40時間以下の週において上記(1)(2)を除く週労働時間が週所定労働時間を超え40時間まで働いた時間

については、法外時間外労働とはなりません。

 

ただし、ある文献によれば、実際には簡便に所定労働時間を超える時間について、1.25倍の割増賃金を支払うこととしている企業が多いとされています(労務行政研究所編『労働法実務Q&A全800問(下)』312頁)。

そのような取扱いをする旨の規定がない場合、上記(6)(7)の時間については、一般の法内残業と同様、合理的意思解釈として1倍の賃金を支払う旨の合意があるものと解釈されます。