残業代に付く遅延損害金は何パーセントですか?


遅延損害金の利率については、残業代(割増賃金)も通常の労働時間の賃金と同じです。賃金が支払期日に支払われなかった場合に付される遅延損害金の利率は、以下のとおりです。

 

【改正民法施行まで】

〈在職中の場合〉

使用者が会社である場合、会社が労働者を雇用する行為は、会社がその事業のために行う行為として商行為にあたるため(会社法5条)、商事法定利率(商法514条)が適用され、年6パーセントとなります。

使用者が個人事業主等で商人(商法4条)にあたる場合も、商人が労働者を雇用する行為は、商人が営業のために行う行為として商行為(附属的商行為)(商法503条)にあたるため、同様です。

その他の場合(たとえば、医療法人、学校法人等は商人ではないとされます。)は、民法所定の年5パーセントです(民法(改正前)404条)。

 

〈退職後の場合〉

退職した労働者の賃金(退職金を除きます。)については、退職日の翌日からは年14.6パーセントになります(賃金の支払の確保等に関する法律6条1項、同法施行令1条)。

ただし、退職日後に支払期日が到来する賃金については、14.6パーセントになるのは、当該賃金支払期日の翌日からです。

 

【改正民法施行後】

〈在職中の場合〉

平成29年の民法改正で、債権法が大きく変わりました。法定利率については、変動制が取り入れられ、商事法定利率は廃止されました。

改正民法の施行日(2020年4月1日)以降については、使用者が商人であるなしにかかわらず同一の法定利率が適用され、当面は3パーセントとなります(民法404条2項)。新法は、3年に一度、市中金利の変動に基づいて法定利率が自動的に変動する仕組みを採用していますので(民法404条3~5条)、この利率は3年後に増減する可能性があります。

 

〈退職後の場合〉

 改正民法施行までと同様です。