月60時間を超える残業では割増率が異なるのですか?


平成20年の労働基準法改正により、1か月60時間を超える時間外労働の割増率は50%とされました(同法37条1項ただし書)。

ただし、注意すべきことが2点あります。

 

第一に、下記の(1)(2)のいずれかに該当する中小企業は、2023年3月31日までは、適用を除外されています(平成30年改正前同法附則138条)。2023年4月1日以降は、すべての企業が対象となります。

 (1) 資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5000万円、卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である。

 (2)常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である。

 

第二に、使用者は、労使協定の定めに基づいて代替休暇(通常の労働時間の賃金が支払われるもの)を与えた場合には、与えた時間に対応する時間外労働(与えた時間そのものではなく、上乗せ割増率で割り戻した時間です。たとえば、代替休暇1日を与え、8時間分の通常の労働時間の賃金を支払う場合、通常の割増率が25%で60時間超の割増率が50%である一般的なケースであれば、8時間を0.25で割り戻した32時間分)については、通常の割増率(25%)を支払えば足りるものとされています(同条3項、同法施行規則19条の2)。